ねこの話をするとしよう(2)

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続き。

犬とインコとハムスターは飼っていたけど猫は飼ったことがなかった。
ただ周りで飼ってた人は結構いたし、実家のお隣の家が猫を放し飼いしていたので、触れ合う機会は結構あった。

いやあんまりなかった。なぜなら猫とは、人にあまり近づかないから。
隣のタマ(本当にタマっていう名前だった)は外飼いだったので道路でたまに遭遇して、この子は結構人懐こかったけど、地面にぼてんと横たわって「なでろ」と無言で命令し、ちょっと撫でると満足して「もうよい」とどこかにいってしまう感じだった。
友達の猫も、やっぱり外飼いで(太古の田舎の話です)遊びに行っても滅多に姿を見ることもなかった。
室内飼いの猫でも、客が来ると嫌がって逃げてしまう場合ばっかりで、わたしの中で「猫=愛想がない」生き物となった。

この認識は今も変わらず、犬みたいに言うこと聞かないし、気紛れだし、やっぱり飼い主大好きな犬の方が可愛いなあと思う。
わたしはいろいろあった思春期に、エレキたち(実家の犬)のおかげで救われてたようなことがあり、あんまり真面目に書くと恥ずかしいけど、絶対に裏切らない、無性の愛が存在するのだとわからせてくれたエレキたちに心から感謝してるしわたしが死ぬまで愛してる。
あと見た目も犬が一番好きなんですよ。単純に好みの問題で。犬と他の動物が並んでても、絶対犬に目がいく。

ケイティは犬っぽい。
鳴き方も犬っぽいし、甘え方も犬っぽいし、変なねこです。
ときどき、これは猫の形をした犬なのでは…? と思うことがある。
前回も言いましたけど、そもそもは式部さんのねこなんです。式部さんのお友達が拾ってきて、式部さんが飼い始めたねこ。
犬がナンバーワンとはいえ動物全般が好きなので、ねこがきたよと言われた時、喜び勇んで会いにいきました。
仔猫が来たというので、うちの犬が産んだ子犬的なものを想像していた。小さくて、ピャーピャー鳴いて、ミルクしか飲まない、うごうごしてるもの。
でもケイティは拾われた時、もう結構大きくて、あと柄が変だったので(さびねこ見たの初めてだった)正直ちょっとガッカリした。

犬はこんなよ。余所様の子ですけどうちもこんな感じだった。

ヨークシャテリア赤ちゃん、生後1週間!

画像検索してもそこには天国しかない。
ヨークシャーテリア 赤ちゃん - Google 検索
あ〜〜〜〜〜犬かわいい! 犬最高! ヨーキーは本当に宝石みたい!

式部さんちに来て間もないケイティ。
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しかしこのねこがね、猫なのにとても、あまりにも、人懐こかったんです。
と言っても宅配の人や男性編集者などに対しては怯えて隠れるし、天敵のように嫌ってる相手もいるし、懐いてくれたのはわたしが式部さんちに入り浸りすぎていたせいもあるのだろう。
ねこはわたしの膝に乗り、だっこしろとせがみ、キャットタワーのてっぺんからわたしを踏み台にして飛び降り、たぶんもうお客ではなく自分の縄張りにある家具の一部くらいに思ってくれるようになった。
わたしの手を枕にして寝るねこの姿を見た時、ああもうこれはわたしが命を賭しても守らないとならない存在だ…と大宇宙の意思を受け取った。

変な柄の変なねこだなあ、と思っていた時期が嘘みたいに、いつの間にかわたしはケイティを愛し狂うようになっていました。
孫を溺愛するおばあちゃんみたいに、おもちゃやおやつを買い与えまくった。ねこベッドなどは大抵興味持ってくれずにごみになって式部さんが渋い顔になってたけど(ごめん)。
わたしがあんまりケイティに溺れているので、式部さんが「そのうちケイティがいなくなったら、わたしより渡海さんの方が発狂する」と心配するレベルになった。
(でも絶対そんなことないと思うけど。式部さんのダメージの方がでかいと思うよ…)

ケイティの病気がみつかったのは、わたしがそんな状態に成り果てた時でした。
飼い主でもないのに病院についていって、検査や治療を見守りました。別に何ができるわけでもないんだけど。式部さんは不安だから一緒に来てって言ってたけど、半分くらい、わたしの気持ちを慮ってくれてたんじゃないかと思ってる。

二度目の手術で乳腺を取ってから、癌治療が始まった。
抗がん剤を打つために病院にねこを連れていく。
点滴で薬を体に入れるんだけど、とても強い薬で、万が一漏れて肢に掛かった場合は切断しなくてはならない、と説明を受けた。
麻酔をすれば危険はないけど、麻酔自体が危険だからやりたくない、と先生は言った。

検査のために病院にねこを預けて、そのまま点滴。
麻酔はできない、暴れて針が抜けたり液漏れしてはいけない、というのでどうするのかなと思ったら、点滴の間中40分くらい先生がずっとケイティを抱え込んでくれてるらしい。ありがたい。

検査から治療が終わるまでは長い時間がかかるので、わたしと式部さんはお互い一度家に帰ってから、時間を置いてまた病院へ。入院した時もある。
迎えに行って、助手のお姉さんがケイティちゃんを連れてきますね、とケージのある部屋に向かうと、ケイティのものすごい絶叫が聞こえてくる。
「ケイティずっと怒ってましたよ」と先生に言われて、最初はものすごくびっくりした。
ケイティは温和すぎるほど温和で、まったく怒らない子だったんですよ。人間に対しては絶対に爪も牙も出さない。撫で回しても文句も言わないし、よく猫がやるという、「シャー」とか「カー」とかいう威嚇もしない。したのを見たことがない。
…はずだったけど。
いやあすごかった。ものすごかった。これどこの子? 本当にケイティ? というくらい毛を逆立てて怒り狂っていた。
何度か入院したけど、その間も夜中ずっと怒り続けていたらしい。
怒りまくって、採血の時も牙を剥き、暴れ回り、本当に驚いたけど、「ケイティ元気だな」と少しほっとした。

でも抗がん剤を入れるようになって何度目かを過ぎたあたりで、ケイティがあまりごはんを食べなくなった。
癌の他に、高齢の猫なので腎臓も弱っているうえに、甲状腺に異常があることもわかった。
水も飲んでくれない。
人と一緒にいることも嫌なのか、いつもなら人の姿が見えるところや、人の膝の上でゴロゴロしているねこが、ユニットバスに逃げ込んで、暗いところで蹲り、動かなくなった。
あんなに人間が大好きで甘ったれな子だったのに、わたしとも式部さんとも目を合わせてくれなくなった。
本当に変なねこで、じっと見つめると見つめ返して、こっちに近づいて、だっこをねだるような子だったのに。

カリカリを水でふやかして柔らかくしたり、すり鉢で細かくしても駄目だった。
このわたしが知る限り一番猫に関してあたまのおかしい(褒めてます)S原T子先生に相談して、これならば食べるかもというおいしいおやつを聞いて片っ端から与えたりしていた(砂H糖子先生ありがとうございます)。
カロリーの高い療養食をいろいろ買ってみたりもした。

それでもケイティの食事量はあっという間に減って、まったく何も口にしなくなり、当然やせ細っていって、毛が抜けるようになった。
検査の時に暴れることもなくなった。怒りはしてるけど、鳴き声にも繰り出す蹴りにも全然力がなかった。
体重は二キロを切った。もともと小柄な和猫なので、三キロを越えると肥満が心配されるくらいなんだけど、一キロ台になった時のやせ細りぶりは壮絶で、もうケイティの姿を見るのも辛かった。
とうとう体を丸める力もなくなったようで、身を投げ出すようにバスマットに転がり始めた。

たぶん、もう、だめだ。
呼吸も弱くなり目を開けることも少なくなったケイティを見て、ある夜、わたしと式部さんは覚悟を決めた。
たぶん、あと数日だろう。
二人でめそめそ泣いた。これじゃもうもたない。今晩のうちに静かに息を引き取っても不思議じゃない。何も食べないし、毛はごっそり抜けてるし、鳴きもしない。もう何日もケイティの声を聞いてない。
病院が嫌いみたいだから、治療もやめよう。ずっと家にいて、その時が来たらふたりで看取ろう。
去年の夏に、そう覚悟して、毎日薄氷を履む思いで暮らしていました。


それにしたって長いなこの日記。
世界一かわいいうちのねこは今日も元気です!!!!!

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体重は2.5キロを、こ、越え…。
ダイエット中である…。