近況報告の歌

小説家・渡海奈穂の買った本とか日常のどうでもいい感じの記録、たまに宣伝。

またオダギリか

目的は香川さんなわけですが。わたしは野望の国で饅頭屋だった頃から香川さんが好きです…。
何かまた邦画らしいアレなスメルがぷんぷん漂っていたんですが、兄弟萌えがひどいらしいとの噂を聞いて観に行った。
以下ネタバレなので伏せ。あと酷評…かなあ、好きなんですが、何ていうか、遠藤に対するいつもの感じに似ているので、そういうのがイヤな人は気をつけてくだされ。



監督のオナニーを延々観せられ続けた気分になる映画であった。
人間の暗黒面とか、深い部分を描いているつもりなんだろなっていうのはよくわかった。しかしその深い部分て、わりとみんなが自分でも気づいていて、『敢えて』言わないだけのところを、監督が「どう、わたしはこんなことに気づいて、こんな世界も描けるのよ!』って自慰行為を見せてくるので、まあよいオナニーなので見ていて楽しいけど最終的にはおなかいっぱいになってしまったというか。
 
でもこれ、ラストの方がもうちょっと何とかなってたら感じなかった部分だったかもと思う。途中までは、兄弟のお互いへの屈折した思いとか、それを前面に押し出すわけでもなく演技や演出で感じさせるところとか、すごく好みでドキドキしながら見てた。
が、わたしはこの手の、「結末は見た人の心にあるからそれぞれで想像してください」的なラストが苦手なのです。
それから先が見たいのであって、想像するためのパーツなら、映画をわざわざ見なくても日常生活で転がってるもんです。自分の中にはない答えや選択肢や感情を見たいのに、大した問題提起もなされずラストを丸投げされちゃうと、消化不良にもならないというか、おいしいのを咀嚼して味や感触を味わってたのに、呑み込む寸前で「はーいそれは飲まないで出してください、飲んだ後のことは想像してね」って言われてバケツ差し出されたみたいな…。
飲ませてくれよ、飲んでからその感想を考えさせてくれよ、という。
いっそ最後にオダギリが車道に飛び出して轢かれればよかったのに(というか轢かれて死んで兄に看取られ看取りハッピーエンドかと思ってた、おとぎ話ならば)。
 
言葉やシーンで説明仕切らない、そのへんのバランス感覚は本当に好みだった。
最後の方、兄の出所直前にバイト先の子と岳がファミレスに行った後、残された岳、赤い風船、っていう映像は特に秀逸だったなあとか。
でも何ていうか、作る人の感性が若すぎるというか、力がまだ足りてないというか、素人っぽさが気になって仕方なかったこの話。
香川さんの演技が達者だった分、そっちの稚拙さが目につくというか鼻につくというか、見終わった後にもやもやしてしまった。が、主演がオダギリっていうのはぴったりだったんだろうな、経験とか力で見せるんじゃなくて、感性勝負というか。
これ、高校生の頃に観に行ってたら、すごく好きになったと思う。
きっと二十歳の微熱を今見ても、こういう気分になっちゃうんだろうなあ。
こういう映画だったら、もうちょっと歳取ってから取ればいいのにと思いました。まだまだ作った人って絶望したことがなさそう。覚悟していたより全然軽かった。