渡海奈穂の近況報告の歌

小説家・渡海奈穂の買った本とか日常のどうでもいい感じの記録、たまに宣伝。

まだまとまらない

ちょっと前に見に行った。思いのほか辛い話でした。
ネタバレにつき以下伏せ。
 
 
 
 
これがハッピーエンドなのかどうかはよくわからん。
現世で松子が幸福になれなかったのは、松子が結局誰のことも、自分のことも愛してなかったからな気がします。どんな男と一緒にいても、その相手を好きになったわけじゃなくて、「自分のそばにいてくれる誰か」が欲しかっただけだったような。
それもまああたりまえのことだと思いはするんですが。
嫌われ松子の一年を読んだら、監督があえて松子の中身をからっぽにした的なことを言ってたので(ニュアンス違うかも)、余計にそう感じたのかなと思います。原作読んだら全然違う予感もする。
映画の松子は、父親に見捨てられてると思い込み、でもその関心を惹くために父親の望む人間であろうとした時点で、もう自分を捨てている。だから自分も愛せないし他人も愛せないし、愛し愛されることを望んでるのにそのやり方がわからずに「何で?」って結果になってて、それがあまりに悲惨なので、見てる間中笑ってました。
わたしが笑ってるとこで、周りの人は結構すすり泣いていてびっくりした。あっ、ここ泣くところなんだ! って慌てたり。
でもこれは笑って笑わせてなんぼな映画な気がするなあ。
つい愛がどうのと考えこんでしまったけど、頭使って見る映画じゃない気がする。ええとこれじゃ語弊がある、理屈じゃなくて感覚で観た方がしっくりくるというか。理屈は後からついてくるもので、見ておもしろいな〜って感じるところまでで充分な感じ。少なくとも見てる間は。
後でじわじわ来ます。
 
映画見る前にエッセイ読んじゃって、ネタバレもりだくさんだったのでガッカリしてたんですが、何かネタバレがどうこうとかいう話でもなかった。
ああ、こういう映画作りたい監督の下で働くんじゃ、大変だったろうなあとしみじみしました。
監督の頭にもう映像が、細部にわたるまで出来ていて、それを役者やスタッフが忠実に再現しないとならない。普通これはひとりでやる作業じゃないのか。思い通りにならなくて監督がいらだつのもスタッフが傷つくのも当然です。
観客的には、いいもん見せてくれてありがとうってだけなんですが、ひとえに。
遊びすぎな映画って嫌いだったはずなんですが、これはものすごくツボにきたなあ。すごくよくできてる映画でした(偉そうな)。やっぱり細かいとこまですごくシビアに監督が作り込んだがゆえの映画なんだな。こういう人のアレがナニなのはある程度仕方がないと思います。これを礼儀正しい紳士が作ったとしたら、その方が気が違ってる。
 
女の人に夢を見てる映画だなという感じはしました。
松子にそっくりで大事な知人がいるので、見ていて辛かったな〜。
 
好きか嫌いかで言ったら大好きな映画だけど、辛いので二度は見たくない。笑える火垂るの墓みたいなもんでした。